「堆肥化失敗」の原因

                           (財)岐阜県産業経済振興センター

アドバイザー 「堆肥化」 梅島忠好

<「堆肥化の失敗」の大きな原因>

質問 堆肥化はほとんどが失敗していると聞いていますが

それは何故ですか?

応答 堆肥化に失敗している人は「有機廃棄物を処理したものが堆肥」と考えていることが大きな原因です。

 

質問 「有機廃棄物を処理したものが堆肥」ではないんですか?

応答 ええ、「堆肥は資材」であって「処理物」ではなく、それを明確に自覚して堆肥化に取り組むことが重要なんです。

 

質問 「資材」と「処理物」との違いは何ですか?

応答 「資材」は明確な目的をもって作るもので、「処理物」は処理の過程で出来たも

-即ち、使う目的がはっきりあって作ったものではないんです。

「堆肥」の場合は農家が作物生育に使うためにはっきりとした品質を要求され

る資材であって、それも花用、野菜用、果樹用、苗用などと多種類に分かれて

いる資材なんです。

 

質問 分かりました。「堆肥づくり」は「有機廃棄物」から農家の資材として、例えば、「花用の堆肥」とか明確に基準を設けて作る必要があるということですね。

応答 その通りです。ですから「堆肥づくり」は「有機廃棄物を処理したものが堆肥」と考えている人は、農家の要望に応えられないので失敗する可能性が大きいのです。

 

<堆肥の品質>

質問 「堆肥」には品質に良いもの、良くないものがあると聞きましたがどんなものがあるのですか?

応答 AA級品からE級品ぐらいまで何段階にも分かれます。

 

質問 良い堆肥と良くない堆肥との違いはどんなことですか? 

応答 良い堆肥はハウス栽培のように外気と遮断した締め切った場所でも使える最高級の堆肥で値段も一番高く、良くない堆肥は畑に撒くと作物が枯れるもので、逆にお金を出しても農家が使ってくれないものです。

質問 もう少し詳しく話していただけませんか?

応答 基本的には農家が直ぐに使えて播種、定植しても作物が傷まず、すくすく成長するものを「堆肥」といい、作物に少しでも害があるものは「良くない堆肥=まだ廃棄物」で「堆肥」と言ってはいけないのです。

 

質問 それはなぜですか?

応答 ハウス栽培に「良くない堆肥=まだ廃棄物」を使うと、それに残っている未分解の有機物が分解を始めてガスを出し、ハウス内に溜まって作物を枯らすからです。最悪、ハウス内の作物は全滅します。

 

質問 それは密閉した施設で作るハウス栽培に限らず、露地栽培など作物でも同じことが言えますか?

応答 「良くない堆肥=まだ廃棄物」を露地物作物に使う場合は、ハウス栽培のように密封されていない場所で栽培しますので、ガスの影響を受けることが少なく安全にみえますが、基本的には「危ない堆肥」なのです。

普通市販されている堆肥は“ハウス栽培に使っても大丈夫です”とは、なかなか表示していません。これは製造堆肥の品質に自信がないとなかなか書けないからです。

 

質問 そうすると、“ハウス栽培に使える堆肥”と書いてあるものはかなり堆肥の品質に自信があるということですね。

応答 そのとおりです。

 

質問 なぜ、“ハウス栽培に使える堆肥”ができないのですか?

応答 普通の堆肥の作り方では約1年ぐらいの期間を必要としています。1年もかかって堆肥を作るとコストが膨大になり、販売単価が高くなり赤字になるからです。

ですから堆肥化の途中で未分解の段階でも出荷してしまうものが多いのですが、まじめな堆肥業者は1〜2年かけて良質の堆肥を作って出荷しています。

 

質問 しかし、45日でハウス栽培に使える堆肥ができると聞いていますが?

応答 有機廃棄物から45日でハウス栽培に使える堆肥をつくることができます。

それは堆肥の表情を見て、タイミングよくスピード感を持って、最小限度の混合と切返しと云う作業を行うことと、その作業に合った独自の装置システムが可能にするのです。

 

<醗酵時の臭い>

質問 堆肥化では発酵時にすごい臭いがあるのが常ですが、同じ「堆肥化」でも臭いがほとんど出ないシステムがあると聞いていますが?

応答 ええ、普通の「堆肥化」のやり方では強烈な臭いを出す施設が多いですが、上手に醗酵させる堆肥センターでは醗酵過程でほとんど臭いが出ません。

 

質問 それは何故ですか?

応答 「自然の摂理にあった有機物の分解」を私どもは 「堆肥化」と呼んでいますが、無理をしない、自然の分解微生物の表情を見て(と言っても見えませんが)、タイミングとスピードを持った作業で堆肥を作ります。そうすると醗酵時にほとんど嫌な臭いは出なくなります。

堆肥づくりの微生物類も生物ですので、できるだけ自然な環境にあったやり方をしますと微生物類を活発化させることになり、分解が促進され、そしてそれに合った装置、機械類を使うことが、さらに嫌な臭いを出さないことになるのです。

 

質問 もう少し詳しく話していただけませんか?

応答 有機廃棄物と水分調節材(剪定枝、もみがら、おがくず、乾燥した有機物)を混合して水分約60〜70%にします。その時、有機廃棄物と水分調節材との相性、割合、そしてどんな堆肥を製造するのかなどを考慮します。

混合された堆肥の原料は混合された時から臭いは包まれた状態になって外には出なくなります。

そしてその状態で約24時間から36時間の内に醗酵温度が約70℃〜80に急上昇します。そうなってくると堆肥の中の温度はかなり熱く、やけどする状態ですが臭いは外に出てきません。

中では相当種類の微生物群が生まれては活動し、有機廃棄物を違う物質に変える作業を延々と行っています。

7日間ぐらいこの温度が持続して少し下がり始めた時、切返しと云う作業を行います。スピードとタイミングをもって、これを約6回継続して行いますとハウス栽培に使える最高級の堆肥が出来上がります。

即ち、全ての微生物群に働いてもらって有機廃棄物を全く違う物質に変えてもらって、もう変えるものがなくなった状態が「堆肥」と言えるものなのです。

自然の営みは案外嫌な臭いが出さないものなのです。

 

 

 

質問 現在、稼働している堆肥センターはどうですか?

応答 現在、関係している堆肥センターが3カ所ありますが、それらもほとんど醗酵時に嫌な臭いを出しておりません。それぞれ20年ほど稼働しております。

 

<堆肥化できる有機廃棄物>

質問 堆肥化できる有機廃棄物はどんなものがありますか?

応答 牛ふん、豚ふん、鶏ふんなどの畜産糞尿

    生ごみ、食品残さ

    汚泥類、

    剪定枝、もみがら、おがくず、

    ホテイアオイ、焼酎かす、など

「ほとんどの有機廃棄物」を堆肥化する事ができます。

   *また、水分の多い畜産尿、し尿、バイオマス事業の液体物、なども市販のエネルギーを使用しないで、自然の醗酵熱で水分を蒸発させて固形堆肥にすることができます。

 

<コスト>

質問 ほとんどの有機廃棄物を堆肥化できることは分かりましたが、コストの面はどうですか?

応答 有機廃棄物などの堆肥化原料を堆肥化する場合に装置類で動かすことを最小限にしたことで、コストが大きく削減できるようになりました。 

 

質問 「装置類を動かすことを最小限にしたことで、コストが大きく削減」とは実際にどんなことをするのですか?

応答 最高の堆肥をコスト安で作るためには、堆肥化原料の最小限度の混合と堆肥の醗酵情況を見てタイミングよく、スピード感をもって堆肥の移動を行う切返しが必要であり、馴れるとできるようになります。

最小限度の動きで堆肥ができれば、おのずからコストは安くなります。

 

また、醗酵微生物を爆発的に増殖させることができるので、有機廃棄物を急激に分解してもらうことができて、短期間で最高の堆肥を作ることができるのでコストが安くなります。

 

 

 

 

<収益>

質問 一般に有機廃棄物は1トン当たり数万円と処理にお金が掛かって、しかも捨てていると聞いておりますが、コストが安く堆肥化ができれば一石二鳥になりませんか?

応答 コストの安い方式で、有機廃棄物を逆有償で堆肥化すれば一石二鳥にも三鳥にもなり堆肥センターは大きな収益を得ることができます。

 

<障害者雇用>

質問 障害者の人でも堆肥センターで働けますか?

応答 障害の軽度の人であれば堆肥センターのほとんどの場所で働けると思いま

す。

 また、重い方でも袋詰め作業などがあります。

袋詰め作業は堆肥センターではかなりの仕事量があり、袋詰めの種類、手作業の項目を増やせば相当の仕事量になります。

 

質問 袋詰めの場合、どんな種類がありますか?

応答 例えば、10Kgの袋、5kg3kg1Kgの袋詰めなど、   

これも 種類別には 堆肥の袋、培養土の袋詰めなど

         用途別では 花用、野菜用、果樹用、プランター用など 

必要に応じて多品種の袋詰めが必要になり、大勢の障害者の方々に働いてもらうことができると思います。

 

<障害者農業>

質問 堆肥センターで良質の堆肥が生産できれば、障害者の方々も農業ができると思いますが?

応答 良質の堆肥は臭いが無く、軽く扱いやすく、堆肥関係の失敗はほとんどないので、作物が作りやすいです。ですから的確な指導者がいれば障害を持たれた方々でも立派な作物を作ることができます。

作った作物は有機栽培ですので価格も高く収入源になります。

また、作った作物は自分たちの食料になり自給を目指すことも出来ます。

なによりも自然の下で、リハビリを兼ねて、仲間たちと共に、ゆっくりと働くことができると思います。

 

 

 

 

<まとめ>

質問 よく分かりました。それではまとめますと

有機廃棄物の処理に1t当たり数万円掛かっているので、それらを逆有償にて委託処理・堆肥化すれば

 

その堆肥センターは    

 

・臭いが少なく

   ・A級品の堆肥ができて

   ・しかも、コストの安い堆肥ができて

   ・そのうえ堆肥センター自身も収益をあげることができ

   ・障害者の方も堆肥センターで働くことができて

   ・その堆肥を使って有機栽培ができるうえに

・障害者農業もできるようになり

・収益を上げることが出来る上に

・食糧自給にも役立つ と

                 いうことですね?

 

応答 その通りです。

 

ありがとうございました。


中部有機システム